これまでの日本社会で、いちばん安定した生活が送れるサラリーマンとは、(1)役所や学校に勤める公務員、(2)国鉄(現JR)、電電公社(現NTT、郵便局(現日本郵政公社)など旧国営企業の職員、(3)全国各地に支社・支店のある大企業(銀行、生損保、電力、ガスなど)という順だった。ただし、東京や大阪といった物価の高い都会に住んで働くのではなく、地方の親元のそばで働くことが理想である。学歴は高卒、あるいは無名の大学出身であってもかまわない。
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そういう組織に入って、めざましい活躍はしないが、ただただ真面目に、けっして上司に反抗することなく、与えられた仕事をコツコツこなしていく。当然、彼らは大した出世はできない。役所なら係長、学校なら教務主任か教頭、民間企業なら支店次長ぐらいで定年退職する。このコースを東京や大阪勤務でやっては妙味がない。なぜなら、こういった組織は「給料は全国一律」だからである。地方なら、地価は東京に比べて五割以上は安いし、アパートを借りるにしても、マンションを買うにしても、やはり東京より五割は確実に安い。もちろん物価も二、三割は安い。つまり、東京で暮らすより、何事につけ出費が少なくてすむわけで、なかでもサラリーマン最大の関心事であるマイホームを買うときには、ローンの負担が都会の人たちの半分ぐらいですむのである。だから、地方の支店の係長と、東京本社の部長とでは、年収で五百万円くらいの差があるかもしれないが、税引き後所得から生活費やローンを差し引いた金額は大して変わらない、むしろ支店の係長のほうが自由に使えるお金が多いという現象が起きるのである。